【家屋調査】目視確認できない調査・傾斜測定1

皆様お久しぶりです。
今年の3月~4月は沢山のご依頼をいただきまして社員一同嬉しく思っています。
厚く御礼申し上げます。
今後も何卒ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

ゴールデンウィークは皆さんどのように過ごされましたか?
ブログの中の人は昨年海に行ってきましたので、今年は某山へ行ってきました。
温泉、新緑、渓流、滝、放牧地、牛肉、馬刺、お蕎麦、高菜飯、ジェラート、ソフトクリーム・・・。
後半食物ばっかり語っていますが、
どこに遊びに行ったか旅好きの方・九州の方でしたらお分かりですね。

旅行に行くとブログの中の人、なぜか1回は野生の生き物に遭遇します。
今回の旅行では、アナグマさんにお会いしました。
小走りで去っていく後姿がプリケツで可愛くいらっしゃいました。



ただブログの中の人、
かなりどんくさいため毎度毎度スマホで写真を撮れません。

沢山登って下ってまいりましたので
今回は家屋調査の調査項目の1つ『傾斜測定』についてお伝えします。

工事の影響で建物が傾く理由は

近隣で大規模な建設工事・解体工事がスタートすると自宅が激しく揺れたり、
地面を深く掘っていたりしていると、
『もしかしてこの工事のせいで自分の家が傾いてしまうのでは?』
と不安になる方もいらっしゃいます。

工事の影響で建物が傾く原因は大きく分けて2つあります。
大きく分けると『土留め』と『地下水』に問題が起こることが原因です。

土留めが原因のもの

マンションやビルなど大規模な建物の新築工事では、基礎や地下階を作るために
地面を深く掘る必要があります。

地面を深く掘るときは建築基準法に基づき、まわりの土が崩れてこないように
壁を作ってから掘り進めていかなくてはなりません。この工事を土留め工事といいます。

この土留め工事をしっかりとしておかないと、地面を掘っているときに周辺の土地の土圧が
下がり、局所的な地盤沈下を引き起こします。
土留めがしっかりしておらず、倒れたり傾いたりした場合、その隙間に周辺の土が流れ込み
表層沈下や基礎部分周辺の空洞化が起こり、その方向へ徐々に傾いていきます。
この時、クラックの入る方向や隙間幅の広がり方が一方向に向かって発生することが多いです。

地下水が原因のもの

土留め工事不良のほかには、地下水が原因の場合もあります。
建築物の基礎工事・杭工事の際に地下水が大量に湧き出てきたものをくみ上げたり、
基礎・杭が水脈にぶつかった影響で水流が変わってしまうことがあります。
水流の先に砂層など流れやすい物質が存在すると、地下水がその地層を押し流したりして
地下に空洞ができてしまうこともあります。また、それまで水流があった箇所が空洞化し
沈下を起こすこともあります。

傾きの許容範囲は?

そもそも建築物は工業製品などとは異なり現場で職人さんが手作業で建てるものなので、
一定の傾きは認められています。

家の傾きの許容範囲は『住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)』および『国土交通省告示』に、
新築住宅であれば3/1,000以内 (0.17度以内) とされています。
つまり1,000mm(1メートル)につき3mm傾いている状態であれば許容範囲内とされます。
なお、中古住宅の場合には以下の表が診断の目安とされています。

【住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準】

レベル 勾配の傾斜 構造耐力上主要部分に瑕疵がある可能性
     1 3/1,000未満 低い
     2 3/1,000以上6/1,000未満 一定程度存する
     3 6/1,000以上 高い
住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成十一年法律第八十一号)第七十条より

建物の構造で傾斜による影響に違いがあります。


【木造の場合】

傾斜角 損傷程度
~2mm 損傷が明らかでない範囲
2~3mm 建付と内外壁の損傷が5割を超え損傷発生が目立つ。内外壁の損傷は
0.5㎜程度。建付隙間3㎜程度、木工仕口隙間2㎜以下
3~5mm 基礎亀裂の拡大傾向が見られ、無筋基礎、内外壁の損傷が0.5㎜程度、
建付隙間5㎜程度、木工仕口隙間が2㎜を超える。
5~8mm 有筋基礎でも多くの建物で0.5㎜を超える亀裂、内外壁の損傷は1㎜、
建付隙間は10㎜を超え、木工仕口隙間4㎜程度以上となる。
8~12mm 有筋基礎でも1㎜程度の亀裂、内外壁の損傷2㎜程度、建付隙間15㎜程度、
木工仕口隙間5㎜程度程度となる。

【鉄骨造・RC造・SRC造】

傾斜角 障害程度
~3mm未満 測定誤差や施工誤差を含む範囲
4mm クラックの位置・入り方によっては外壁、柱が傾いている可能性
がある
5mm 水はけが悪くなる。窓・額縁や出入口枠の接合部に隙間が生じている
可能性がある
6mm 不同沈下を意識する。申し出が増えてくる
7mm 建具が自然に動くのが顕著に見られる
8~10mm 殆どの建物で建具が自然に動く。建具の開閉が不良となる場合は
傾斜角10/1000の可能性
15mm 配水管の逆勾配。排水が流れず逆流してくることも
17mm 生理的な限界値
日本建築学会「小規模建築物基礎設計指針」より


またもやブログの中の人あるある『長文』になってしまいました…。(;・∀・)

続きはまた来月お届けしたいと思います。
気長にお待ちくださいますとうれしいです…。

まずはお気軽にお問い合わせください